VOICE・3


私の声 
家族性地中海熱と診断されるまでの経緯と病歴
1959年生まれ  年齢 53歳  性別 男 関東在住の場合。

・2〜3歳
急性腎炎発症  制限食と投薬により治まる。
・小学生低学年
 発熱と胸痛が度々あり、複数の総合病院で診察、検査受けるも、原因不明。
・小学生高学年
 父が肺結核(膿胸?)を発症し、片肺摘出手術後、2年余入院。(父方の伯母も同病で手術歴有り)
 多分?この時期に私自身も発症していたらしい・・自覚症状はなかった。
 (ここ2〜3年の胸部検査で画像に痕跡があり、知らないうちに感染していたのだろうと指摘される。)
・中学生 高校生
 ほぼ普通の生活を送る。運動部にも所属していたが、発熱はしやすい体質だった。
 年に1〜2回から数回程度・・発熱と関節痛のみで2〜3日で治まる。
・19歳
 自然気胸を発症、入院、手術を受け一週間で退院。 以後再発はない。

・その後。就職、結婚、ほぼ30年間、発熱しやすい体質以外、大きな病気もせず暮らしていた。
・51歳 (2010年11月) 
 突然、高熱を繰り返す。11月〜12月にかけ、中3日から中7日間の周期で、5回発熱。
 いずれも40℃前後で3日間で治まる。関節痛、頭痛はあったが、腹痛、胸痛はさほど無し。
 その度に、近所のかかりつけ医で受診するも、インフルエンザの検査は陰性で風邪でしょう?とのこと。

・(2011年3月〜4月)
 翌年3月末から再び発熱を繰り返す。今回は腹痛も伴い、尿も褐色になる。かかりつけ医の紹介で地元の総合病院を受診。各種検査の結果、炎症反応、肝機能の状態が悪く、即入院。詳しく検査を受けることに。
 2週間様々な検査を受けるも、特に原因が判明せず、この時点では不明熱という診断。しかし、主治医に家族性地中海熱という病気の可能性があるかもしれないと、遺伝子検査を勧められ迷わず受ける。ただし、結果は2ヶ月後ということで、4月に退院。
 発熱時の食欲不振、入院中の検査に伴う絶食等で体重が一気に7kg減少。なかなか体調が戻らないまま自宅療養を経て、仕事に復帰する。

・(2011年5月)
 その後も、めまい、ふらつき、倦怠感、手の指のこわばり、微熱が続いていたが、懇意にしている方から、不明熱なら都内の大学病院でも検査を受けたほうが良いと勧められ主治医にも相談し、入院時のデータを頂き、紹介状を持参し受診する。
 今までの経過を説明し、一通りの検査をするも大きな異常はみられず、やはり、不明熱?という診断で毎月通院し、経過観察ということになる。

・(2011年6月)
 そうこうしているうちに、遺伝子検査から2ヶ月が経過。地元の総合病院で再診。
検査の結果が出ていて家族性地中海熱・・・陽性。ついに原因が判明する。家族性地中海熱であるが、典型的な型ではないので、今後の治療等は経過を見ながら決めていくことになる。 

・(2011年7月)
 大学病院の再診でも、この結果を伝える。その科では家族性地中海熱は初めての症例ということで、他の科にも紹介され受診するも、こちらでも前例がなく、色々勉強しながら様子を見ていきましょうとのこと。
 再度、相当量の採血があったり、微熱が続いていたために結核の検査も2回受け(1回目は結果保留になった為、2回目で陰性が出て結核の容疑は晴れる) まあ発熱したらいつでも来院するように言われそれまでは経過観察。(血液検査で治療まではいかないが、少しリウマチの数値が高めと言われる。)

・(2011年8月)
 ここでまた発熱。大学病院の方が再診日が近かった為、翌日に大学病院へ。 少し熱が下がっていたので検査の数値も入院するほどの状態ではなく、担当の教授先生が、診療日でなく所用がある為、引き継がれた若い先生で再診。そこで一言。「これといった治療法もないし、子供の発熱と同じだから、解熱剤飲んで2〜3日安静にしていれば治まるでしょう。」
・・・・・。
大学病院だからもう少し違った対応があるかと期待していた私が無知だったのか?
家族性地中海熱って子供の発熱と同じレベルの病気なんだ・・・?
コルヒチンのコでもなく解熱剤なんだ・・・? 
帰宅後再び発熱。翌日に教授先生から侘びの電話があったが丁重にお礼を申し上げ、再診予約は辞退させていただく。これ以来この大学病院には行っていない。

その後、地元の総合病院で再診。 発熱の状況だけを伝え、今後も主治医とし診ていただけるようお願いする。大学病院でのことは一切触れることなく、今でも真摯に接していただいている。
この時点で発熱を抑える為に初めてコルヒチンを処方される。
1.5mg/日  現在も服用中。

コルヒチン服用後の高熱は
2011年11月 2日間 (39℃台)、 2011年12月 3日間 (38℃後半)、 
2012年3月 2日間 (38℃後半)、 2012年5月 7日間 (39℃台)
この期間だけで済んでいる。いままでは、発熱予感後は、ほとんど39℃〜40℃の発熱があったので、コルヒチンによってこれだけに抑えられているのだと思われる。

・2013年3月現在
今では発熱を予感しても、だいたい37.5℃〜38℃どまりでおさまっている。
しかし、高熱が出なくてもその他の症状を繰り返している。
倦怠感(疲労感)を伴う微熱、膝の関節痛(腫れを伴うことが多い)、胸痛、両手指の強張り(母方の叔母がリウマチで家系的に心配・・)、目の奥の重い痛み、内出血しやすい等・・・。
先日の血液検査でも炎症反応が出ているので、常に体内で何かが起きているような気がする。

今の想い。
私の場合は、現在の主治医のおかげで、確定診断までに数ヶ月という速さで病名が判明したことは長年苦しんでこられた方々に比べれば大変恵まれていると思う。
コルヒチンによって症状がこれだけに抑えられ、なんとか仕事が出来ていることにも感謝している。
(コルヒチン服用していても高熱が出るときは出るがそれは仕方ない・・・。)

家族性地中海熱に限らず、自己炎症疾患それぞれの病気で、患者それぞれが症状も、薬に対する効き方も、副作用も、病気による精神的・肉体的なダメージも、これからの展開も皆同じではないとつくづく感じている。

医療機関によっても、全く病名が知られていなかったり(希な疾患だから仕方ないが・・)対応が違うことが多く、先生方の一言、一言で振り回されてしまうこともある。
遺伝子のどこが変異をもたらしているかだけで、症状は出ないはずだなどと判断されても困るし家族性地中海熱ではそんな症状はどうかな?と、訴えている症状を否定的に決めつけられても困る。
私に限らず、なかなか理解してもらえない症状で苦しんでいる患者はかなり多いはずです。

医療関係者の皆様には、このようなことを寛容に受け止めていただき、ご配慮いただき、治療、研究に励んでいただきたいと切に願います。

私のように、50歳を過ぎてからスイッチが入ったような患者の情報では、あまり参考にならないかとも思いましたが、こんな症例もありますよと書かせていただきました。
私自身も病気のことを勉強していきたいと思いますので、今後共、宜しくお願いします。


(家族性地中海熱非典型例 ・ 男性)