クリオピリン関連周期性発熱症候群(CAPS; Cryopirin-associated periodic syndrome)は3つの疾患の総称です
a. 家族性寒冷蕁麻疹 (FCAS; Familial cold-autoinflammatory syndrome)
b. マックル・ウェルズ症候群 (MWS; Muckle-Wells syndrome)
c. 慢性乳児神経皮膚関節炎症候群 (CINCA症候群; Chronic infantile neurological
cutaneous articular syndrome)
1. 概念・頻度・遺伝性
臨床症状に基づいて、軽症のFACS、中等症のMWS、重症のCINCAの3つに分類されます。FCASでは家族歴があり、常染色体優性遺伝を示すのが一般的ですが、CINCA症候群では孤発例が多くみられます。患者さんの殆どが生後6か月以内に発症します。
2. 原因
NLRP3遺伝子変異により、炎症性サイトカインであるIL-1βが過剰に産生されることが原因と考えられています。
2:発熱
寒冷刺激によって誘発されます。
3:関節症状
左右両方の膝・足・肘・手・指関節に病変を認めます。一過性の関節痛から関節変形や関節拘縮に至るまで
様々です。
<重症例では、中枢神経の症状が合併します>
1:難聴
特に高音域が聞き取りにくくなり、聾となることもあります。
2:髄膜炎
慢性の髄膜炎が起こり、知能の低下・頭痛・嘔吐・けいれん・麻痺・水頭症が認められます。
3:眼症状
軽症例では結膜炎、重症例では乳頭浮腫や視神経萎縮がみられます。
4. 合併症と予後
重症例では二次性アミロイドーシスを合併することがあります。
5. 診断
遺伝子診断が有効です。
1:イラリス(一般名カナキヌマブ)
IL-1βに対する中和抗体で、IL-1βの効果を弱める薬です。日本では、2011年に保険適応となりました。
2:アルカリスト(一般名リロナセプト)
血中のIL-1βをトラップする薬です。
3:キネレット(一般名アナキンラ)
IL-1β受容体拮抗体といって、IL-1がIL-1受容体に結合するのをブロックし、炎症を弱める薬です。
4:その他
発熱や痛みに対して、副腎皮質ステロイドや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を用いることもあります。
一般に、コルヒチンの有効性は認められません。
疾患についての詳細を知りたい方は「CAPS患者・家族の会HP」をご覧ください!
治療薬イラリスについては「ノバルティスファーマHP」を参照ください!
info@autoinflammatory-family.org