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   家族性地中海熱・TRAPS・PFAPAを中心とした患者と家族の会


      autoinflammatory‐ family association

自己炎症疾患の種類

自己炎症疾患は、現在その存在が知られている中では下記の疾患があります。
それぞれの疾患は症状が良く似ていますが、疾患ごとに原因が異なるのは勿論のこと、有効な治療法が異なるので正確な診断が必要になります。



各疾患概要と種類

自己炎症疾患は、現在その存在が知られている中では下表のような疾患があります。
それぞれの疾患は症状が良く似ていますが原因が疾患ごとに異なるのは勿論のこと、有効な治療法が異なるため、正確な診断を行う必要があります。

 

 

分類

疾患名

原因

遺伝子

原因

蛋白質

遺伝

形式

疾患の特徴

周期性発熱


家族性地中海熱

(FMF)


MEVF

パイリン

常劣

・発熱持続時間は1~2日

・腹痛、胸痛、丹毒様紅斑

・腎アミロイドーシスの合併(90%)


高IgD症候群/メバロン酸キナーゼ欠損症

(HIDS)

MVK

メバロン酸

キナーゼ

常劣

・通常1歳までに発症する

・発熱持続時間は4~5日


TNF受容体関連周期性症候群

(TRAPS)


TNFRSF1A

TNF受容体1

常優

・発熱持続時間は1~3週間

・眼窩周囲浮腫、単球性筋膜炎

・腎アミロイドーシスの合併(20%)

NLRP

関連疾患

クリオピリン関連周期性発熱症候群 (CAPS)

 a. 家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)

 b. マックル・ウェルズ症候群(MWS)

 c. 慢性乳児神経皮膚関節炎症候群(CINA)


CIAS1

NALP3

NLRP3

クリオピリン

常優

 

 

・FACS:軽症

 寒冷刺激を受けた後の

 発熱、皮疹、関節痛

・MWS:中等症

 FACS+難聴、腎アミロイドーシス

・CINCA:重症

 MWS+精神遅滞、骨変形


NLRP12関連周期熱症候群


NALP12

NLRP12

NLRP12

常優

・寒冷刺激を受けた後の発熱

・難聴

肉芽腫性疾患


ブラウ症候群/若年性サルコイドーシス

(BS/EOS)

CARD15

NOD2

CARD15

常優

・通常5歳までに発症する

・多発関節炎、ぶどう膜炎、皮疹

化膿性疾患


PAPA症候群


PSTPIP1

PSTPIP1

常優

・化膿性無菌性関節炎

・壊疽性膿皮症


Majeed症候群


LPIN2

LPIN2

常劣

・多巣性骨髄炎、貧血、皮膚炎


IL-1受容体アンタゴニスト欠損症

(DIRA)


IL1RN

IL-1受容体

アンタゴニスト

常劣

・新生児期に発症する

 多巣性骨髄炎、骨膜炎、膿疱症

その他

PFAPA症候群

不明

不明

非遺伝性

・通常5歳までに発症する

・アフタ性口内炎、咽頭痛、扁桃炎

この表は、Eurofever Project (http://www.printo.it/eurofever/) を参考にして作成いたしました。

 

頻度の高いと考えられる疾患について、疾患別の詳しい解説を作りましたのでご活用ください。

 1. 家族性地中海熱 (FMF)

 2.TNF受容体関連周期性症候群 (TRAPS)
 3.PFAPA症候群
 4.高IgD症候群/メバロン酸キナーゼ欠損症 (HIDS)

 5.クリオピリン関連周期性発熱症候群 (CAPS)

 6.ブラウ症候群/若年性サルコイドーシス (BS/EOS)

 7. PAPA症候群

 


その他の広義の自己炎症疾患


自己炎症疾患と類似の病態が考えられる病気には、以下のようなものがあります。全身型若年性特発性関節炎、成人スティル病、ベーチェット病は現時点では自己免疫疾患に分類されていますが、自己抗体や自己反応性T細胞が認められないため、自己炎症疾患に近い病気である可能性が考えられています。

 

・全身型若年性特発性関節炎(sJIA)
・成人スティル病

・ベーチェット病

・クローン病

・遺伝性血管性浮腫

・ゴーシェ病

・痛風

・偽痛風

 


膠原病と識別することが難しい病気です

 

膠原病と診断されている方の中に、自己炎症疾患患者さんが紛れ込んでいる可能性があります。

また膠原病に自己炎症疾患を合併する患者さんもおられます。
例えばベーチェット病に家族性地中海熱を合併する患者さんや、全身性エリテマトーデス(SLE)に家族性地中海熱やTRAPSを合併する患者さんがいらっしゃることが知られています。




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